日本アニメーション学会 |
日本アニメーション学会第5回大会 第2通信 |
[大会テーマ]表現の拡張としてのアニメーション [会期]2003年6月28日(土)〜 6月29日(日) [会場]京都造形芸術大学 〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116 TEL:075-791-9353 FAX:075-791-8398 大会当日TEL:075-791-9122(代表) [大会参加費]正会員・海外会員 5,000円 賛助会員 2名まで無料(3名以上からは正会員に準ずる) 一般 3,000円 学生 1,500円 懇親会費 5,000円(学生2,000円) [第5回大会実行委員]天野一夫(委員長) 相原信洋 伊藤高志 五十川あき 太田省吾 大西宏志 鎌田高美 河原崎貴光 田名網敬一 林海象 増田龍治 第5回大会日本アニメション学会 日本アニメーション学会第5回大会をここに開催します。 これは第一線のアニメーション作家を始めとして、様々の研究者等が横断的に参加している学会で、今回が関西では初めての開催となります。 アニメーションは今日、あらためて日本を代表する表現メディアとして注目され、また様々の形でアニメーションは我々にとって日常化してもいます。今回はその中で特に常に揺動し変容しつづけるアニメーションの本来の姿に立ち返り、その今日におけるアニメーション表現の本質的な可能性を問う意味で「表現の拡張としてのアニメーション」と題して、多角的な側面から考察してみたいとおもいます。高嶺格をはじめとした現代美術のフィールドでの優れたアニメーション作品についてのシンポジウム、あるいは多様なコラボレーション・競作の試みについてのシンポジウム、そして広告やゲーム、TV番組を始め様々の形で独自のアニメーションの世界を示してきた佐藤雅彦と、映像前史的なものと現代の先端メディアと切り結ぶ岩井俊雄との初の対談も行われます。他にアニメーション史から原理的な考察にいたるまでの研究発表をはじめとして、実際の作品の上映・展示も含め、様々なアニメーションに触れ、考えることができることとおもいます。 すでにいわゆる現代美術やその他のフィールドでも多様な試みが行われており、またラボレーションなどの形でのいくつかの競作が試みられてもいます。おそらくそれも狭い個人性に閉じてゆくことのない変容への実験の希求のようにおもわれます。このように狭いエリアでのみアニメーションを考えるのではなく、広い裾野に拡がった試みを包摂してゆくことで、あらためて自分と世界との関係を前提にした、世界変容の契機としてのアニメーションというラディカリズムを回復し、再考することにもなるのではないでしょうか。それはひいては従来の当学会のアニメーションの概念を拡げることともなるとおもっています。 ここに会員のみならず、広く一般の方々の参加を期待します。 第5回大会実行委員長 天野一夫 日本アニメーション学会第5回(2003年度)大会概要 飲食案内 28日(土)通常通り授業がありますので、学内食堂(南棟1F)・ラウンジ天心(人間館2F)は10:00から14:00迄営業しております。@カフェ(人間館1F)も同時間帯に営業しております。飲み物の自動販売機は学内各所にあります。大会会場の他に会員向けの休憩所を設け、そこで湯茶のサービスを実施します。詳しくは当日の案内をご覧ください。29日(日)大学は休業日のため、ドリンクのみ@カフェにて12:00から15:30迄営業しております。大学付近に若干ある飲食店をご利用ください。なお、初日に引き続き、会員向けの休憩室を開設し、湯茶のサービスを行います。第1通信送付時に弁当の申し込みをされた方は、受付時に弁当引換券をお渡しいたします。 宿泊案内 別紙をご覧ください。 Access ○JR京都駅より 市バス5系統/岩倉行「上終町京都造形芸大前」下車 (乗車時間約50分) ○ 阪急河原町駅より 市バス5系統/岩倉行「上終町京都造形芸大前」下車 市バス3系統/百万遍京都造形芸大前行「京都造形芸大前」下車 (乗車時間約30分) ○ 京阪三条駅より 市バス5系統/岩倉行「上終町京都造形芸大前」下車 市バス3系統/百万遍京都造形芸大前行「京都造形芸大前」下車 (乗車時間約20分) ○ タクシー(JR京都駅より) 2300円程度(乗車時間約20分) 日本アニメーション学会第5回大会プログラム ●6/28/sat/1日目 12:00 受付開始 12:30 開会式(会長挨拶、学長挨拶、大会実行委員長挨拶) 会場=人間館4F・NA401教室 13:00 ◎研究発表(発表20分・質疑5分) 司会=木船徳光(東京造形大学) 会場=人間館4F・NA401教室 [ICAFインターカレッジ・アニメーション・フェスティバルの活動] 陣内利博武会員(武蔵野美術大学) アニメーションの教育に携わる教員達のネットワークによって、2002年に第1回を開催したICAF。アニメーションという表現に挑戦する若者達の発表の場づくりと、若者達の表現の「いま」を読むリスト化、そして今後の展望。 13:25 [スペインにおけるマンガ・アニメの言語政策] Emilio Gallego Zambrano会員 スペインでは他の国にはあまりみられていないアニメの紹介がある。中央政府や特に地方の自治体が絡んでいるのは非常に面白い現象である。アニメの公開ルートなどを模索しながら、アニメが果たしている役割や社会的な認識を説明していきたいと思う。 13:50 [大藤信郎研究のための序論] 津堅信之会員 大藤信郎は、千代紙や色セロファンなど独特の素材を使用した作品を発表し、ま た海外でいち早く評価され、我が国のアニメーション映画史を考察する上で重要な作家であるにもかかわらず、その業績に関する研究はこれまでほとんど行われていない。本発表では、そうした大藤の業績を研究し再評価するにあたり、これまでの研究の実績と問題点を整理することによって、主要な研究課題を明らかにし、大藤研究の意義を述べるものである。 13:15 [アニメーションー身体/抽象/時間表象] 石田尚志会員 「音楽の視覚化」は20世紀初頭の抽象絵画において中心的課題でもあったが、1920年代に出現した抽象映像もまた、音楽構造への着目から制作されたものである。これらは抽象絵画と同じように「反遠近法」と「反復」の構造が認められるが、すでに映像が時間芸術であることから、「演奏」という身体的な概念が強く認められるといえるだろう。アニメーションにおける身体/抽象/時間表象について、作家としての実制作の体験から発表する。 14:40 休憩 15:30 < 特別プログラム・> 司会=天野一夫(京都造形芸術大学) 会場=人間館4F・NA401教室 対談「現代美術におけるアニメーション・映像」 高嶺格(美術家)×市原研太郎(美術評論家) 17:45 第6回総会 18:30 懇親会 会場=人間館2F・ラウンジ天心 ●6/29/sun/2日目 9:30 受付開始 10:00 < 特別プログラム・>司会=天野一夫 会場=人間館4F・NA401教室 シンポジウム「コラボレーション・競作の事例から」 a)アニメーション連歌「冬の日」について [古川タク(東京工芸大学)×木船徳光] 芭蕉作品一句ごとのイメージをノルシュテイン、古川タクをはじめとした国内外の作家が作ったアニメーション連作の紹介。 b)田名網敬一×相原信洋のコラボレーション連作について [田名網敬一(京都造形芸術大学)×相原信洋(京都造形芸術大学)] 日本の実験アニメーションを代表する田名網敬一と相原信洋が近年試みている、アニメーションコラボレーションの制作の内実。 c)田名網敬一作品のデジタル的変容 [田名網敬一×生西康典(ディレクター)×掛川康典(ディレクター)] 70年代の田名網敬一のアニメーションを現代のクリエーターたちがデジタル的にエフェクトをかけて、リミックスした再編集の試み。 12:00 休憩(昼食) 13:00 ◎研究発表(発表20分・質疑5分) 司会=横田正夫(日本大学) 会場=人間館4F・NA401教室 [アニメーション研究における術語に関する一考察] 小出正志会員(東京造形大学) アニメーションが芸術的・産業的に発展し、学校教育・生涯学習の場にも定着しつつある現在、ようやくアニメーションの学術研究が本格化しつつある。その最初の重要な課題の一つが、アニメーション研究における術語(専門用語・学術用語)をいかに規定し、用いていくかであろう。ここでは将来に向けたアニメーション分野における「学術用語集」の構築のための最初の作業として、概論レベルに登場する基本語の整理と整備を試みたい。 13:25 [同一運動をする複数物体に対する生物性印象] 中村浩会員(北星学園大学短期大学) 第3回大会において、さまざまな生物や物体の動きから作成した単一物体の運動アニメーションに対する「生物性」印象と、それに関与する要因について報告したが、本研究では、それらの動きが複数個提示された場合の生物性印象の変化について調べた。実験の結果、一定の距離をおいて同時に同じ動きをする物体群に対しては、時間的にずらして同じ動き示す物体群に比べて生物性の印象が弱くなることが明らかとなった。 13:50 [単純図形の運動が与える生物的印象−運動方向と図形長軸が生物的印象に及ぼす効果] 吉田宏之会員(日本大学)・野口薫会員(日本大学) 運動刺激の運動方向が生物的印象に与える影響について、運動方向変化そのもの、および運動図形と運動方向の関係の二つについて検討する。円図形とオーバル図形を用いて、運動刺激が画面中央で方向を変える刺激を作成し、印象を測定した。その結果、上方向への運動、運動方向と長軸の一致が生物的印象を強めていた。これらの結果から、上方向への移動という重力に反した動きや目標を指向することが生物的印象を強めると考えられる。 14:15 [2図形の関係としての動き記述の可能性] 土田昌司会員(明星大学) 2つの単純図形の動きに対人関係やそれに見合うようなストーリーが認知される。このような認知は、何らかの条件の上に成立していると考えられる。これまで、動きや認知の記述には主に物理的な指標が用いられてきた。しかし、この方法は、複雑な動きの記述には適さない。また、私たちの認知とも直感的に繋がらない。本研究では、2図形の関係に注目し、プログラムや対人関係の表現から、動き記述の可能性について考えてみたい。 14:40 [アニメーションと心理学] 大山正会員(日本大学) 歴史的にアニメーションの基となったゾートロ−プは心理学ではストロボスコープの名で知られ、心理学史で重要な意味を持つウェルトハイマーの仮現運動研究の最初に用いられた。動きの知覚は生物が敵や仲間や餌の存在を知るための重要な手がかりで人間にとっても例外ではない。運動視、奥行き知覚、注意、因果知覚、事象知覚、知覚と感情などの心理学の知識はアニメーターにとっても有用と考えられるが、用語の違いなどの障害もある。 15:05 休憩 15:30 < 特別プログラム・> 司会=天野一夫 会場=京都造形芸術大学京都芸術劇場春秋座 対談「アニメーションの原器から」 佐藤雅彦(慶応義塾大学)×岩井俊雄(メディアアーティスト、東京大学) 17:30 閉会式 17:45 終了 28日/10:30〜18:30 ・29日/10:30〜17:00 特別上映 映像ホール( 人間館B1F) ・石田尚志会員 「部屋/形態」「椅子/スクリーン」 ・田名網敬一×相原信洋 「風の呼吸」「スクラップ・ダイアリー」「ランニングマン」「フェティッシュ・ド−ル」 ・田名網敬一×生西康典×掛川康典 「GOLDFISH FETISH」「WHY Re-Mix 2002」「Puzzleof Autumn」 ・伊藤高志 「SPACY」「BOX」「THUNDER」「DRILL」「GRIM」「WALL」 ・増田龍治 「ポピー・ザ・ぱフォーマ−」「ガラクタ通りのステイン」「ドライブカー」 特別展示 ギャラリーRAKU( 天心館1F) ・石田尚志会員「椅子とスクリーン」 ・北岡明佳会員「アニメーションしないアニメーション」 ・松村泰三会員フェナキスチスコープ作成ソフト「Moving Image Maker」 ・田名網敬一×相原信洋 ・伊藤高志「SPACY」「BOX」「DRILL」「GRIM」「WALL」のための素材 ・増田龍治「ガラクタ通りのステイン」についての関連展示 ■PDF版はこちら→大会概要 プログラム |
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