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学会活動アーカイブ
カテゴリー:シンポジウム・講演会
2023.02.13 カテゴリー:お知らせ,シンポジウム・講演会,海外文献研究部会,研究部会活動
中垣恒太郎(海外文献研究部会)
海外文献研究部会の主査をつとめます中垣です。
以下の通り、海外文献研究部会企画による講演会を開催する運びとなりました。
イラン・グェン氏(仏語翻訳・通訳、アニメーション史研究)に講演として、フランスのアニメーション映画『神々の山嶺』(パトリック・アンベール監督、2021)および『めくらやなぎと眠る女』(ピエール・フォルデス監督、2022)を題材に、近年のフランスのアニメーション映画の動向について、また、日本の小説やマンガをアニメーション映画によって翻案された作品を通して「日本」にまつわる文化表象をめぐる論点についてお話いただきます。
『神々の山嶺』(小説:夢枕獏[1997]、漫画版:谷口ジロー[2000-2003])のアニメーション映画版は現在、Amazon Primeにて視聴可能です。
『めくらやなぎと眠る女』は、村上春樹による同名の短編小説集(2009)を含む計6編の短編小説を素材に再構成したアニメーション映画であり、2023年以降の劇場公開が見込まれています。
イラン・グェン氏は東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻などで教育経験を有するほか、現在はフランスを拠点に、日本の作品の翻訳紹介、世界の様々なアニメーション映画祭に協力関与されています。
会員外の方々のご参加も歓迎いたします。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。
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▼日本アニメーション学会海外文献研究部会講演会
(概要)
日程:2023年3月1日(水)19時~21時(オンライン入室18:55)
※オンライン会議システムZoomを用いたオンライン形式で開催します。
「現代フランス製アニメーションにおける日本人の表象について」
▼講師:イラン・グェン氏(仏語翻訳・通訳、アニメーション映画研究・評論)
司会:中垣恒太郎会員(海外文献研究部会主査)
企画:海外文献研究部会
共催:専修大学現代文化研究会
▼日本語による講演です。
▼参加:事前登録制・無料(会員優先。会員以外の方も聴講いただけます)
▼参加申込:2023年2月26日(日)23時まで。
参加者の方には、2月28日(火)までにZOOMリンクをお送りします。
▼事前登録申込: https://forms.gle/hMgaLHGCqcbm9wmdA
▼お問い合わせ先:中垣恒太郎(海外文献研究部会主査)
knakagaki@senshu-u.jp
※上記の@は@(半角)に置き換えてください。
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2022.01.29 カテゴリー:シンポジウム・講演会
須川亜紀子会長
2月20日(日)のオンラインシンポジウム「アニメーションと被災地の記憶―映画『岬のマヨイガ』をめぐるアニメーション、ツーリズム、フォークロアの可能性」のお知らせです。
東日本大震災の被災地支援のため、アニメツーリズムを推進するフジテレビの「ずっとおうえん。プロジェクト2011+10…」(https://zutto-ouen.com/)として、テレビアニメ『バクテン!!』、アニメーション映画『岬のマヨイガ』、『フラ・フラダンス』、『映画バクテン!!』が制作されました。本シンポジウムでは、総括プロデューサーの高瀬透子氏、『岬のマヨイガ』の舞台の一つ岩手県大槌町の平賀聡氏、安藤彰紀氏をお迎えし、プロジェクトの内容や大槌町での取り組みに関してお話をうかがいます。また被災地へのアニメツーリズムに関して本学会の松本淳会員、そして『岬のマヨイガ』に登場する東北のフォークロアに関して秋田公立美術大学の石倉敏明先生にお話いただき、アニメーションが被災地へ貢献に資するサステイナブルな可能性について議論をしたいと思います。
(*『岬のマヨイガ』は第76回毎日映画コンクールのアニメーション映画賞を受賞しました)
ウェビナー登録申し込み受付も始まりました。みなさまのご参加をお待ちしています。
シンポジウムチラシ(PDF)
シンポジウム「アニメーションと被災地の記憶―映画『岬のマヨイガ』をめぐるアニメーション、ツーリズム、フォークロアの可能性」
日時:2022年2月20日(日)13:00~15:30(予定)
会場:ZOOMオンライン (ウェビナー)
参加費:無料
申込:https://forms.office.com/r/iti3K8KhzL
(フォームに登録後、ウェビナー登録画面が出てきます。氏名・メルアドを再度ご記入いただくと、ウェビナー招待メールが届きます)
主催:横浜国立大学地域連携推進機構Next Urban Lab、日本アニメーション学会
企画協力:日本アニメーション学会東日本支部
関連リンク先:横浜国立大学HP https://www.ynu.ac.jp/hus/urbank/27545/detail.html
13:00 挨拶・主旨説明 須川亜紀子(日本アニメーション学会会長・横浜国立大学)
13:10 シンポジウム
・高瀬透子(株式会社フジテレビジョン 編成制作局 映画・アニメ事業センター アニメ制作部統括プロデューサー)
「「ずっとおうえん。プロジェクト2011+10…」について」
・平賀聡(岩手県大槌町観光交流協会事務局長)
「震災復興、観光、エンターテインメント」
・安藤彰紀(岩手県大槌町産業振興課商工観光班主任)
「大槌町とエンターテインメント、今後の展望」
・松本淳(日本アニメーション学会理事・敬和学園大学)
「アニメ舞台探訪とダークツーリズム」
・石倉敏明(人類学者/秋田公立美術大学)
「時を超える記憶と物語の再生」
14:30 <休憩>
14:40 ディスカッション、質疑応答
ディスカッサント:藤津亮太(日本アニメーション学会会員・アニメ評論家)、
須川亜紀子
15:30 閉会挨拶 キム・ジュニアン(日本アニメーション学会副会長・新潟大学)
◆プロフィール
高瀬透子
株式会社フジテレビジョン編成制作局映画・アニメ事業センター アニメ制作部長。「ずっとおうえん。プロジェクト2011+10…」総括プロデューサーとして、TVアニメ『バクテン!!』(2021)、映画『岬のマヨイガ』(2021)、『フラ・フラダンス』(2021)、『映画バクテン!!』(2022)を手掛ける。総括をつとめるTVアニメ『王様ランキング』(2021~)、『平家物語』(2022)は現在放送中。
平賀聡
岩手県大槌町観光交流協会事務局長。2018年、(一社)大槌町観光交流協会の設立時から現職を担う。大槌町には震災応援職員として赴任し、復興計画の改定や地域コミュニティの活性化等に取り組む。その傍ら、おおつちバラエティーショーを企画し有志で活動。現在は、大槌町の観光プログラム全般の開発・発信に取り組む中で、当該コンテンツの将来性及び独創性に期待するもの。自身はアニメ・エンタメ系の感性がかなり低いアナログタイプである。
安藤彰紀
岩手県大槌町産業振興課商工観光班主任。大槌町アニメーション担当。2022年以降公開予定で町オリジナルアニメーション2作品を準備中。2014年から兎塚エイジ氏デザインによるオリジナルアニメ「曲花村役場(仮)」、2015年から「おおつちバラエティーショー」を有志とともに開始し、アニメ、実写、演劇、音楽、体験移住を活用したメディアミックス地域おこしに携わる。目を引く動画はコマ単位で描線を研究する派。ほかに特撮・時代劇ファン。
松本淳
IT・出版・広告代理店、映画会社などを経て、フリージャーナリスト・プロデューサーとして約10年活動ののち、2019年に敬和学園大学人文学部国際文化学科に着任(准教授)。同年NPO法人アニメ産業イノベーション会議を設立(理事長)。デジタルハリウッド大学院DCM修士(専門職)・東京大学大学院社会情報学修士(社会情報学)。著書に『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)、『コンテンツが拓く地域の可能性』(同文館・大谷尚之・山村高淑との共著)など。
石倉敏明
秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科・美術学部アーツ&ルーツ専攻准教授。
専門は芸術人類学、神話学。ダージリン、シッキム、カトマンドゥや日本の東北各地でフィールドワークを行い、環太平洋地域の比較神話学や非人間種のイメージを巡る芸術人類学的研究を行う。近年は秋田を拠点に、北東北の文化的ルーツに根ざした芸術表現の可能性を研究する。2019年には「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際芸術展」の日本館展示『Cosmo-Eggs | 宇宙の卵』に参加。著書に『野生めぐり 列島神話の源流に触れる12の旅』、『Lexicon 現代人類学』など。
2021.09.27 カテゴリー:シンポジウム・講演会,海外文献研究部会,研究・教育委員会
中垣恒太郎 海外文献研究部会主査
以下の通り、海外文献研究部会企画による講演会を開催する運びとなりました。
映画研究者、脚本家、日本チャップリン協会会長の大野裕之氏をお招きし、ご著書『ディズニーとチャップリン』(光文社新書、2021)を中心に、アメリカの初期アニメーションにおける「チャップリン・アニメーション(1915~1923)」、『フィリックス・ザ・キャット』およびディズニー・アニメーションへのチャップリンの影響についてお話いただきます。
会員外の方々のご参加も歓迎いたします。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。
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▼日本アニメーション学会研究・教育委員会主管事業 講演会
(概要)
日程:2021年10月24日(日)14時~16時(オンライン入室13:55)
※オンライン会議システムZoomを用いたオンライン形式で開催します。
「サイレント喜劇と初期アメリカ・アニメーション 〜チャップリンからディズニーへ」
▼講師:大野裕之氏(日本チャップリン協会会長)
司会進行:中垣恒太郎会員(海外文献研究部会主査)
聞き手(予定):清水知子会員、米村みゆき会員、須川亜紀子会員
企画:海外文献研究部会
主催:日本アニメーション学会
共催:専修大学現代文化研究会
▼参加:事前登録制・無料(会員優先。会員以外の方も聴講いただけます)
▼参加申込:2021年10 月19日(火)23時まで。
参加者の方には、10月22日(金)までにZOOMリンクをお送りします。
▼事前登録申込:https://forms.gle/kNK5hmfdBUjKGEYg7
▼お問い合わせ先:中垣恒太郎(海外文献研究部会主査)knakagaki(at)senshu-u.jp
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2020.02.04 カテゴリー:シンポジウム・講演会,研究・教育委員会
文化庁によるメディア芸術連携促進事業では、「データベースサイト」の運営や初学者向けの手引書の作成などを行っており、ここには研究・教育委員会を中心に本学会が深く関わってきました。この活動に関するシンポジウムが開催されることになりましたので、ご報告いたします。当日はこの事業における本学会の関わりやこれからの展望について話が出る予定ですので、皆さま奮ってご参加ください。以下、公式サイトの内容を転載いたします。
研究・教育委員会 DB担当 萱間隆
2019年度メディア芸術連携促進事業 研究成果マッピング シンポジウム
この「研究マッピング」は、「文化庁メディア芸術連携促進事業」の一環として、平成27年度から令和元年度の5年間にわたって実施されたプロジェクトです。
そもそも「メディア芸術」とは、マンガ・アニメ・ゲーム・メディアアートの四分野から構成されていますが、近年、それぞれの研究活動が国内外で盛んになっています。
そこで、各分野の過去の研究成果や最近の動向に関する情報を収集・整理し、例えば、「大学でアニメやゲームの研究をしてみたい」と考えている初学者の方や、「マンガやメディアアートで地域振興ができないか」と悩まれている関係者の方など、メディア芸術の領域に関心を持つ人たちに役立つ「研究を始めるための地図」を作ることにしました。そうした試みを「研究マッピング」と呼んでいます。
今回のシンポジウムでは、5年間の事業を総括すべく、その成果や今後の課題を協議します。
日時:令和2年2月16日(日) 13時00分 ~ 16時00分(開場12時30分)
会場:国立新美術館 3階講堂(〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2)
プログラム
13:00~13:10
冒頭挨拶
吉村和真(京都精華大学 副学長・マンガ学部 教授)
第1部 各分野発表
13:10
マンガ分野発表
「マンガ研究の地図を描く――メディア芸術連携促進事業の5年間――」
石川優(大阪市立大学大学院文学研究科 特任助教)
西原麻里(愛知学泉大学家政学部 講師)
杉本バウエンス・ジェシカ(龍谷大学国際学部 国際文化学科 准教授)
13:30
アニメーション分野発表
「“アニメーション研究”と“Animation Studies”を架橋する」
土居伸彰(株式会社ニューディアー 代表/新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター)
萱間隆(専修大学大学院文学研究科)
13:50
ゲーム分野発表「学際研究としてのゲーム研究」
松永伸司(立命館大学ゲーム研究センター 客員研究員)
井上明人(立命館大学映像学部 講師)
14:10
メディアアート分野発表「メディアアートの研究対象とは?」
明貫紘子(映像ワークショップ 代表)
関口敦仁(愛知県立芸術大学 美術学部 デザイン・工芸科 教授)
14:30~14:45 休憩
第2部 ディスカッション「メディア芸術のための『新しい地図』作りに向けて」
14:45
全体コメント
細井浩一(立命館大学 映像学部 教授 アート・リサーチセンター長)
小出正志(東京造形大学 造形学部 教授・日本アニメーション学会 会長)
関口敦仁(愛知県立芸術大学 美術学部 デザイン・工芸科 教授)
15:00
ディスカッション
石川優(大阪市立大学大学院文学研究科 特任助教)
土居伸彰(株式会社ニューディアー 代表/新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター)
松永伸司(立命館大学ゲーム研究センター 客員研究員)
明貫紘子(映像ワークショップ 代表)
司会進行:吉村和真(京都精華大学 副学長・マンガ学部 教授)
16:00
主催:文化庁
運営:
メディア芸術コンソーシアムJV事務局
(一般社団法人マンガ・アニメ展示促進機構、大日本印刷株式会社、
マンガ・アニメーション・ゲーム・メディアアート産学官民コンソーシアム)
<お問合せ>
メディア芸術コンソーシアムJV事務局 京都事務所
〒604-8241 京都市中京区三条通新町西入ル釜座町22 ストークビル三条烏丸407号室
TEL:075-212-0560/FAX:075-212-0560
2019.10.18 カテゴリー:シンポジウム・講演会,研究・教育委員会
研究・教育委員会では、『現代日本のアニメ』の著者スーザン・ネイピア先生の講演会を開催いたします。 皆さまのご来場をお待ちしております。
「スーザン・ネイピア先生講演会」
日時:2019年11月18日(月)18:00開場 18:20開始 17:40開場 18:00開始(ネイピア先生のご講演は18:10〜) 20:00終了 20:30完全撤収予定(質疑応答含む)
場所:専修大学神田校舎7号館731教室
講演タイトル:Takahata’s Final Fantasy: Memories, Emotions and Exile in The Tale of Princess Kaguya (高畑勲の最後のファンタジーー『かぐや姫の物語』における記憶、感情、流浪)
使用言語:英語(日本語の逐次通訳あり)、質疑応答は日本語可。
定員:100名(どなたでも参加できます)
主催:日本アニメーション学会
企画:日本アニメーション学会 研究・教育委員会
お問合せ
主旨:スーザン・ネイピア先生(タフツ大学教授)https://ase.tufts.edu/ilcs/faculty/napier.htmは、ご著書Anime from Akira to Princess Mononoke (Palgrave Macmillan, 2001)で、文学、文化学、地域研究の見地から日本のアニメを(部分的ではあるが)論じ、アニメ(ーション)学の新たな学術的視点を提示し、英語圏における日本のアニメ(―ション)研究基盤づくりに大いに寄与したパイオニア的存在である。その改訂版が日本語訳『現代日本のアニメ—『AKIRA』から『千と千尋の神隠し』まで』(中央公論新社、2002)として出版され、日本の研究者、学生、一般読者にも研究対象としてのアニメとしての認識、そしてアニメの海外受容の紹介という点で、インパクトを与えた。ネイピア先生の視点は様々な論争を呼んだが、その後の文学、文化学、地域研究おけるアニメ(―ション)研究の道を開拓した貢献は大きい。
アニメーション監督宮崎駿がかかわった作品を分析した近著Miyazakiworld: A Life in Art (Yale University Press, 2018)は、今年11月日本語翻訳が早川書房から出版予定、そのほか中国語、ロシア語、アラビア語にも翻訳される予定である。こうした世界的にも影響力のある著者の今回の講演は、日本アニメーション学会の学会誌『アニメーション研究』高畑勲特集号に寄稿予定の論文に沿った内容である。直接お話をうかがい、学術交流の場を持つことは、本学会の会員にとって有益であり、また非会員の参加も可能なため、アニメーション学会のプレゼンスに関わる一般周知や、将来の会員獲得の契機にもなると思われる。
2019.06.10 カテゴリー:お知らせ,シンポジウム・講演会,総会
日時:2019年6月30日(日)午後1時00分~2時45分
会場:私学会館(アルカディア市ヶ谷)11階・伊吹の間
名称:座談会「アニメーションの研究と学問――この20年とこれから」
登壇者:石田美紀(新潟大学)
木村智哉(玉川大学)
米村みゆき(専修大学)
司 会:小出正志(東京造形大学)
趣旨:
昨年7月28日に開催を予定していた「日本アニメーション学会創立20周年記念座談会 アニメーションの研究と学問――この20 年とこれから」の順延開催となる。
都合により登壇者の一部が交代となるが(キム ジュニアン会員→石田美紀会員)、基本的なテーマや内容は昨年の企画を踏襲するものとなる。
以下「日本アニメーション学会創立20周年記念行事座談会+祝賀会」冊子掲載の開催趣旨を転載する。
日本アニメーション学会は1998年7月25日に設立総会を開き、発足した。アニメーションの研究、特に学術研究の歴史がいつまで遡ることができるかは意見の分かれるところであり、例えば1987年のSociety for Animation Studies(国際アニメーション学会)の創立をシンボリックに捉え、1980年代とする立場もあれば、研究者個人の活動を源流とする考え方もあり、当然後者はより古くなる。日本でいえば1975年8月の日本映像学会アニメーション研究会(第一次)か、あるいはより本格的な活動となった1992年1月の第二次研究会発足が一つのメルクマールといえるかも知れない。
なぜこの様なことを述べるかといえば、研究、とりわけ“学術情報の生産”としての学術研究は個人の活動だけでは十分なものとはならないからである。研究は極めて個人的な営みという側面を持つ一方で、それは常に開かれたものでなければならない。研究が開かれる、あるいは研究を開く際に、そこには組織化された研究活動の世界が存在する必要があるだろう。それが学会であり学界である。その意味でアニメーション研究者の組織化や主たる学会活動、換言すれば研究発表の場を設けることなどを標榜して日本アニメーション学会が創設されたことの学問的意味、歴史的意味は大きいといえる。
以来20年、兎にも角にもアニメーションの学術研究の場は確立したように見える。この間、年次研究発表集会である学会大会は1999年の第1回より毎年途切れることなく20回の開催を数え、学術雑誌・論文誌である学会機関誌『アニメーション研究』も1999年の創刊以来、やはり毎年途切れることなく刊行され、通巻は25号を数える。これらのことから少なくとも外形的には確立したとしいうことができるだろう。ではその実質はどのようなものであろうか。形式ではなく内容を問うとき、それが容易ならざるものであることを知ることになる。もちろん量から導き出される質もある。一方で一つひとつの研究活動や研究成果に対して質的評価を行うことの難しさもある。論文誌において査読が行われその結果採否や改稿が行われている以上、研究に対する一定の評価がなされているといえるが、アニメーションの学術研究の様に方法や規範などが確立していない、あるいは未成熟な分野では本質的な困難さがあり、頻繁にそれは顕在化する。これまでの学会大会の研究発表や、機関誌の掲載論文、そもそも大会発表や機関誌編集の運営方法や方針などにおいてすら大きな問題が生ずることも珍しくはない。この座談会では改めて学術研究の0地点からの議論を期待したい。(小出正志)