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学会活動アーカイブ
2021.04.14 カテゴリー:コンテンツ文化研究部会,研究部会活動
コンテンツ文化研究部会主査 石田美紀
みなさま
この度、理事会の承認を得まして、新しい研究部会として「コンテンツ文化研究部会」が設立されました。この研究部会は、パフォーミングアーツとしてアニメーションを研究することを大目的に掲げております。アニメーションの社会文化的側面を中心に、アニメーション研究の中でこれまであまり取り上げられなかった領域と様々な実践の研究を行います。 例として、声優研究、2.5次元文化研究、ファン研究、“オタク”研究、二次創作研究、玩具・グッズ研究、コスプレ研究、アニメーション映画祭研究、アーカイブ研究、アニソン・音響研究、V-tuber研究、海外アニメ受容研究、ゲーム研究、アダプテーション研究、ジェンダー、セクシュアリティ表象研究等を想定しております。
また、若手会員の育成として、積極的に研究発表の場をもうけたいと思います。加えて、非会員の方にも門戸を開き、学会紹介の場となることも目指します。
どうぞよろしくお願いします。
第一回研究会として、当部会の副査である須川亜紀子会員の新著『2.5次元文化論 舞台・キャラクター・ファンダム』(青弓社、2021年)の読書会を、2021年5月8日(土)午後2時から4時まで、オンラインにて開催します。 本書は、2.5次元ミュージカル、声優イベント、コスプレなどオーディエンスの参加に依拠する諸ジャンルを「2.5次元文化」と定義し、そこに積極的に参加するファンの活動を解明しています。
今回の読書会では、著者の須川会員に、調査と執筆のプロセス、アニメーション研究におけるファン研究の位置づけなど、ここでしか伺えないトピックについて話していただきます。
皆様ふるってご参加ください。
第一回コンテンツ文化研究部会
『2.5次元文化論 舞台・キャラクター・ファンダム』を読む
開催日時:2021年5月8日 午後2時から4時
開催方法:Zoomによるオンライン開催
参加費:無料
参加資格:非学会員の方もご参加できます。
参加申し込み方法:以下のgoogle forms からお願いします。 https://docs.google.com/forms/d/1ulEHxrS2mHLnGepGGZc-MDP4ItOLDx7WT0oWvM6-frw/edit?usp=sharing
お問い合わせ先:コンテンツ文化研究部会 石田美紀(主査)、須川亜紀子(副査)
contents_studies(at)jsas.net( (at)を@に変えてください )
2021.03.17 カテゴリー:大会
日本アニメーション学会第23回大会実行委員長
松本淳(敬和学園大学)
2021年も新型コロナウィルス感染拡大の影響が続き教育や研究に大きな影響が生じています。苦しい状況の続く会員の皆様も多くおられると思います。謹んでお見舞い申し上げます。
さて、そのような中でのお知らせとなりますが、既にお知らせのとおり、前回大会同様オンラインでの開催となりますが、新潟県新発田市にある蕗谷虹児記念館のご協力を得て、「アニメの歴史と地方そして多様性」というテーマを掲げ、様々な研究発表を募り、シンポジウムを行ってまいりたいと考えています。
リアルな会場での大会とは異なり、慣れない環境で不便をおかけすることがあるかと思いますが、オンラインならではのメリットも前回大会でも見いだすことができました。例えば、物理的な移動の困難や、介護・育児等によりなかなか参加できなかった会員も、在宅で参加しやすくなるといった点が挙げられておりました。ぜひこの機会に積極的なご参加をお願いいたします。
日本アニメーション学会第23回大会
●会期:2021年6月26日(土)・27日(日)
●会場:Zoomを用いたオンライン開催
●研究発表のエントリーについて大会の研究発表を募集します。
●発表方法:ZOOMによる発表形式
●発表者資格:日本アニメーション学会会員で、2020年度までの会費を納入していること。
●応募期間:2021年3月22日(月)〜2021年5月6日(木)
●応募方法:以下のページをご覧下さい。
▶日本アニメーション学会第23回大会 研究発表エントリーについて(会員向け)
●募集形式
(1)一般発表: 1枠あたり発表人数1名(共同研究の場合は1組)
全体25分(発表20分、質疑応答5分)
※リアルタイム発表かオンデマンドビデオ発表かをご応募の際のメールでお示しください。
(2)パネル発表:1枠あたり発表人数は2〜4人
全体55分(発表30分、討論25分)
※パネル発表は発表者側が設定した一つのテーマの下で複数の発表者全員がそれぞれ「独自の発表」を短めに行い、「主に議論する」枠となります。
※リアルタイム発表のみとなります。
皆さまのご参加をお待ちしております。
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大会実行委員会:
実行委員長:松本淳(敬和学園大学)
実行副委員長:須川亜紀子
実行委員(順不同):石田美紀、津堅信之、米村みゆき、布山タルト、 キム・ジュニアン
大会協力者:伊藤千佳子(蕗谷虹児記念館)
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お問い合わせ
info@jsas.net(@を半角@に変えて下さい)
2021.03.15 カテゴリー:心理研究部会,研究部会活動
心理研究部会主査 野村康治
心理研究部会では日本映像学会映像心理学研究会,アニメーション研究会と合同でZoomを用いたオンライン形式の合同研究会を開催いたします。参加登録をしていただければ、どなたでも参加いただける会です。
ご興味、ご関心がございましたら、是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。
概要
日時:2021年(令和3年)3月28日(日曜日) 15:00~18:00
参加費:無料
参加登録:参加をご希望される方は、3月26日(金曜日)までに下の参加登録フォームに必要事項をご記入ください。
https://forms.gle/Yg3kQgm22ASsRVKi9
登録後、ご記入いただいたメールアドレスに参加用URLをご案内いたします。
日本映像学会 映像心理学研究会・アニメーション研究会 代表:横田正夫
日本アニメーション学会 心理研究部会 主査:野村康治
連絡先:野村康治(nomura@shoin-u.ac.jp:@を@に変えてください)
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合同研究会プログラム
15:00~ 開催挨拶
*日本アニメーション学会心理研究部会・日本映像学会アニメーション研究会 合同企画
15:10~16:10(質疑応答を含みます)
研究発表 「アニメ視聴による心理的体験の構造化および作品/視聴者要因に関する臨床心理学的研究 ―アニメーション療法の開発に向けて―」
発表者:薮田拓哉
要旨:アニメ視聴によって人々はさまざま体験をするが、時に生きる糧になるなど、援助的な側面も包含している。しかしアニメーションを心理的援助に応用する試みは行われておらず(横田,2019)、基礎的な知見が少ないのが現状である。本発表では、臨床心理学の観点からアニメの心理的支援への活用可能性に繋がる研究を紹介する。研究1では、アニメ視聴による心理学的体験の構造化を行った。その結果、視聴者は娯楽的な体験・影響にはじまり成長や意味を見出すという、より臨床心理的な体験・影響に至るまでの体験をしている事が示唆された。続く研究2は、その体験の生起に関わる作品要因と視聴者要因、体験生起を妨げる阻害要因を検討した。その結果、作品と視聴者の間でどのような心の働きが反映されているのかについての示唆が得られた。本発表では、「アニメーション療法」の可能性も視野に入れつつ、アニメ視聴体験の効用について心理学的に研究する意義やアニメの持つ力について議論したい。
16:10~16:20 休憩
*日本映像学会映像心理学研究会・日本アニメーション学会心理研究部会 合同企画
16:20~18:00(討論・質疑応答を含みます。また適宜休憩時間を設けます。)
パネル・ディスカッション「アニメーション -「イメージ」の伝達-」
進行:野村康治
企画要旨:アニメーションは、作り手が思い描いたものを具現化し、それを受け手に伝える表現だといえる。一般に私たちは、思い描くものを「イメージ」とよぶため、その具現化つまりアニメーション作りにおいて「イメージ」が不可欠だと考えるのはごく自然なことである。しかし、そこで必要とされる「イメージ」とはいかなるものなのであろうか。あるいは、アニメーションにおいて「イメージ」は本当に不可欠なものといえるのであろうか。今回のパネル・ディスカッションでは、アニメーション作りにおける「イメージ」の重要性を指摘する中村氏と、「イメージ」という概念を用いずにアニメーション作りを語る佐分利氏という、ある意味で対極的な視点に立つ2名のパネリストを招き、意見交換をすることでアニメーションにおいて伝達される「イメージ」というものを検討していきたい。
パネリスト:中村 浩
題目:アニメにおける動きイメージのリアリティについて
要旨:アニメ作家が作り出す動きには、その動きのイメージと統合された作家自身の身体図式が表現されている。そしてその鑑賞者においても、観察した動きが鑑賞者自身の身体図式に関連付けられることによって、それがよりリアルな動きとして知覚される。しかしこれは身体図式と視覚的に鑑賞される動きの統合によって形成された視覚図式がアニメ製作者と鑑賞者に共通であることを前提としている。ではこの図式はどのようなプロセスを経て形成されるのであろうか。リアリティの高い視覚図式の形成が、視覚刺激の身体図式への同化によって可能になることを発達心理学的観点から示したのがPiagetであるが、本報告では因果関係知覚の発達を題材とした研究結果を手掛かりとしてこのプロセスについて議論したい。
パネリスト:佐分利敏晴
題目:イメージで語らない生態心理学と、イメージとしてのアニメーション
要旨:生態心理学において私たちが視覚で環境を見るとき、脳内で作られるイメージや目にしたときの網膜に投影される像(イメージ)は必要無い。網膜は光学的配列を捉え、その配列そのものが視覚情報となるからだ。それは私たちの意識の外にあるもので、ヒトの状態や行為にかかわらず存在している。
しかし、アニメーションは映像であり、本来のイメージの意味から考えてもイメージである。だから、アニメーションの作り手が見せたいものに情報が片寄ることがある。
普段の何気ない動作を改めて絵画的なアニメーションで作ると、高畑勲が指摘していたような「異化効果」によって、観客が持っている「動きの印象」ではないディテールが知覚される。このとき、アニメーションは作り手が「引き写した環境と動きの事実」であるとともに「思い描いた」ものとして機能し、非常に力強い表現となる。
2021.03.12 カテゴリー:海外文献研究部会,研究部会活動
中垣恒太郎 海外文献研究部会主査
以下の通り、海外文献研究部会主催による講演会を開催する運びとなりました。
メディアファンダム研究の基礎文献に位置づけられる、ヘンリー・ジェンキンズ『コンヴァージェンス・カルチャー――ファンとメディアがつくる参加型文化』(渡部宏樹・北村紗衣・阿部康人訳、晶文社、2021)について、訳者をお招きし、これから読む方に対する導入として、あるいは、書籍では伝わりにくいマルチメディアに関する要素についての補足解説として、お話いただきます。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。
▼日本アニメーション学会海外文献研究部会 講演会
(概要)
2021年3月25日(木)19時~20時30分「+α」
※オンライン会議システムZoomを用いたオンライン形式で開催します。
▼講演:渡部 宏樹氏(筑波大学人文社会系)
2021年3月22日23時まで参加登録を受け付けております。
※会員外の方でもご参加いただけます。
問い合わせ先:主査 中垣恒太郎 (knakagaki[@]senshu-u.jp)([@]を@に変えてください)
2021.03.10 カテゴリー:歴史研究部会,研究部会活動
萩原由加里 歴史研究部会主査
2020年9月に刊行された木村智哉『東映動画史論 経営と創造の底流』の書評会を開催します。著者である木村氏に執筆の背景を聞きながら、参加者も交えて討論していきます。
書評者兼司会:萩原由加里
応答者:木村智哉
概要
2021年3月20日(土)14時~16時
日本アニメーション学会歴史研究部会2020年度第1回研究会
書評会「木村智哉『東映動画史論 経営と創造の底流』を読む」
この研究会はzoomを用いたオンライン形式で開催します。
申し込み先:参加登録フォーム
https://forms.gle/3PLWSRhERaJ8qYof8
2021年3月18日18時まで参加登録を受け付けております。
※本研究会は非会員でも参加できます
2021.02.01 カテゴリー:産業研究部会,研究部会活動
松本淳 産業研究部会副査
アニメの産業面からの研究を発展させるべく産業研究部会を昨年発足致しました。以下のとおり第4回の研究会を執り行うことになりましたので、皆様のご参加を賜れますと幸いです。
▼開催日時・場所
2021年2月21日(日)13時~
※オンライン会議ツールZoomを用いて開催します。
※参加申込は2月16日(火)までにGooleフォーム ( https://forms.gle/BppeWmLktCkae4uU8 )へお願いします。
※参加表明を頂いた皆様には申込時に記入頂いたメールアドレスへ参加用URLをご案内致します。
▼研究会次第
・主査より開催挨拶
・副査より研究会のご案内
○第1部(13:10~14:10)
講演:数土直志氏(アニメジャーナリスト・ゲスト)が考えるアニメ産業の形
○第2部(14:20~15:00)
ディスカッション「アニメ産業とは何か」(前回の定義の整理ならびに数土氏を交えてのディスカッションを通じて、部会としての定義を図ります)
○今後の活動予定と研究テーマの討議(15:00~15:15)
○総括・閉会挨拶(15:15~15:30)
※オンライン開催のため懇親会は行いません。
※発表ならびに討議の模様はZoomを用いて録画し、研究部会Facebookグループ(限定公開)にて共有させて頂きます。
問い合わせ先:上記Googleフォームへお願いします。
※学会会員以外の方も参加可能です。
2021.01.25 カテゴリー:研究・教育委員会
キム・ジュニアン会員(研究・教育委員会)
2008年に単著『密やかな教育:〈やおい・ボーイズラブ〉前史』を発表し、少女マンガ、とりわけBLに関する学術的議論と社会的理解を進展させた著者の石田美紀氏(本学会会員)が2020年12月に新著『アニメと声優のメディア史: なぜ女性が少年を演じるのか』を発表しました。日本のアニメにおける声とそれを演じる声優にフォーカスを当てる本書は、戦前まで遡り、ラジオやテレビジョンなど様々なメディアを横断しながら現在の声優ブームに至る声の社会的・美学的問題が幅広く考察されています。その考察は、日本のアニメに限らないアニメーションの歴史、戦後日本における占領期政策、関係者へのインタビュー、アニメ中間素材分析、ジェンダー論など多彩な研究方法を用いています。オンライン方式の本研究会では著者の石田美紀氏とナビゲーターの萱間隆氏お二人を招き、本書で議論されている内容やその研究の過程について話し合い意見の交換を行います。
登壇者:石田美紀、萱間隆
主催:日本アニメーション学会研究・教育委員会
日時:2021年2月6日(土)14時~16時
会場(オンライン):Zoom
参加のお申込:https://forms.gle/CZ19ekSZn7nmrg7D9 (こちらのGoogleフォームにてお申込ください)
※お申込の際ご登録のメールアドレス宛にZoomミーティングID及びパスコードを締切の翌日にお知らせいたします。メールが届いていない際には迷惑メールボックスをご確認の上、お問い合わせください。
※学会会員以外の方も参加可能です。
お申込締切:2021年2月4日(木)
お問い合わせ:study@jsas.net (@を@に変えてください)
2021.01.23 カテゴリー:大会,総会
日本アニメーション学会第23回大会実行委員長
松本淳(敬和学園大学)
日本アニメーション学会第23回大会・総会についてのお知らせとなります。
前回第22回大会同様オンラインでの開催となりますが、新潟県新発田市にある蕗谷虹児記念館のご協力を得て、「アニメの歴史と地方そして多様性」というテーマを掲げ、様々な研究発表を募り、シンポジウムを行ってまいりたいと考えています。
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会期:
2021年6月26日(土)・6月27日(日)
会場:
オンライン開催
開催校:
敬和学園大学( https://www.keiwa-c.ac.jp/ )
※オンライン開催につき会場ではありません。
※研究発表の募集開始は3月を予定しております。
※大会プログラムなど詳細は現在調整中です。追ってお知らせ致します。
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1898年に新発田市で生まれた蕗谷虹児は、竹久夢二に才能を認められ上京し挿絵画家として活躍した後、パリ留学を経てモダンさに加えトランスジェンダーを感じさせる「叙情画」を確立させました。その後、東映動画で『白蛇伝』のパイロット映像とも位置づけられる短編アニメーション『夢見童子』(1958)の制作に構成と原画で参加した人物でもあります。
新型コロナウイルスの影響が続くなか社会の分断を象徴するような出来事が国内外で続いています。このような状況であるからこそ、アニメーションが示すことができる可能性を地方から探りたいと思います。前回大会の経験も活かしながらオンライン開催とすることで各地を結び、実り多い大会とできればと考えております。
実行委員長:松本淳(敬和学園大学)
実行副委員長:須川亜紀子
実行委員(順不同):石田美紀、津堅信之、米村みゆき、布山タルト、 キム・ジュニアン
大会協力者:伊藤千佳子(蕗谷虹児記念館)
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大会実行委員会事務局:
〒957-0062 新潟県新発田市富塚1270 敬和学園大学内
電話:0254-26-3636(大学代表)、MAIL:conference2021(at)jsas.net( (at)を@に変えてください )
※大会実行委員会へのお問い合わせ等はメールにてお願いします。
2020.10.19 カテゴリー:その他
日本学術学会が本年10月1日に発表した新規会員推薦者105名のうち、菅義偉内閣総理大臣によって6名の任命が拒否されたことが明らかになりました。本学会は日本学術会議の協力学術研究団体である立場から、今回の任命拒否に関して、学問の自由を脅かす重大な問題だと受け止めております。
本学会は、新規会員推薦者105名の名簿から6名が除外された経緯の説明と、6名の速やかな任命を強く求めます。
日本アニメーション学会 会長
須川亜紀子
2020年10月18日
2020.09.08 カテゴリー:お知らせ,学会賞
本年度「日本アニメーション学会賞2020」の選考結果が決定いたしましたので、下記の通り、皆さまにご報告申し上げます。
■日本アニメーション学会賞2020:
『フライシャー兄弟の映像的志向 ―混淆するアニメーションとその空間 』
宮本 裕子 著 (2018年 明治学院大学機関リポジトリ/2020年 水声社刊)
■特別賞:
『富野由悠季の世界』展と『高畑勲展』 二つの展覧会の企画に対して
〇「富野由悠季の世界」展企画チーム (福岡市美術館、兵庫県立美術館、
島根県立石見美術館、静岡県立美術館、富山県美術館、青森県立美術館、神戸新聞社)
〇東京国立近代美術館/株式会社NHKプロモーション(『高畑勲展』)
<贈賞式>
日時:2020年9月13日(日)14:30~15:00
日本アニメーション学会第22回大会(オンライン開催サイト*)にて配信
※https://jsas.net/conference.html のリンクよりアクセス
※大会参加には参加費が必要となります
<選考委員>
石田美紀(新潟大学経済科学部 教授)
権藤俊司(東京工芸大学アニメーション学科 准教授)
須川亜紀子(横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授)
鷲見成正(慶應義塾大学 名誉教授)
米村みゆき(日本近現代文学研究者/専修大学文学部 教授)
プレスリリース(PDF)
■贈賞理由
学会賞/宮本 裕子 著『フライシャー兄弟の映像的志向 ―混淆するアニメーションとその空間』
我が国ではフライシャー兄弟によって制作されたアニメーション作品は一般によく知られているが、制作者である兄弟の知名度はディズニーに比べると必ずしも十分とはいえない。二〇一八年五月に明治学院大学機関リポジトリにて公開された宮本裕子氏の博士論文に基づく氏の著作は、このフライシャー兄弟のアニメーションを取り上げて、その映像作品の歴史的・社会的な位置づけ、作品制作の方法論および開発された作成装置、そこから導き出される映像論に関する考察などを詳しく論じた労作である。 実写映像の空間とアニメーション映像の空間の混在がフライシャー作品の主たる特徴とみなされ、この複雑多様な空間特性の混淆がもたらす映像の一体化を「映像的志向」という思考の枠組みで説明していこうというのが著者の狙いといえる。今日のデジタル技術の目覚ましい進歩発展は実写映像とアニメーション映像との垣根を外し、まさしく複雑空間の混淆をアニメーションにもたらしている。本書が目指す「映像的志向」の概念は、今後メディア研究の発展とともに密接なつながりをもって展開されることとが予想される。本書の中で「志向」の概念化と論述過程の記述にやや不明確な点が認められるが、フライシャー・アニメーションを見直すことでディズニーとは異なる次元の知識体系をフライシャー作品に賦与した本書の功績は高く評価される。今後の研究内容の一層の充実と発展が期待される。(選考委員・鷲見成正)
特別賞/『富野由悠季の世界』展と『高畑勲展』二つの展覧会の企画に対して
〇「富野由悠季の世界」展企画チーム/〇東京国立近代美術館、株式会社NHKプロモーション
「富野由悠季の世界」(福岡市美術館他、2019/6-)と「高畑勲展-日本のアニメーションに遺したもの」(国立近代美術館他、2019/7-)は、美術館におけるアニメーション展示の結節点となる展覧会であった。 近年、アニメーション展覧会は増加と多様化の一途をたどっており、そのアプローチも様々である。例えばシュヴァンクマイエルやバックのような「作家」を取り上げる場合、古典的な美術館の制度に沿って、人形や原画が芸術家個人の創作物として取り扱われる傾向にある。 他方、商業アニメーションに関しては、ジブリやピクサー等の会社単位でその制作システムを総体的・啓蒙的に示す展覧会があり、さらにその中の個人の業績にスポットを当てた展覧会も多く開催されている。とはいえ、後者の場合、アニメーター(安彦良和、近藤勝也、近藤喜文)や美術(男鹿和雄、山本二三)、メカデザイナー(大河原邦男)等、職種として「絵」の面に偏してきたことは否めない。 このような状況に対して、基本的に「絵」を描かない演出家である富野と高畑を取り上げ、集団作業であるアニメーション制作の中から「演出」のプロセスをいかにして可視化するかという困難な課題に取り組んだ二つの展覧会は画期的である。 「高畑勲展」に関しては、とりわけ『太陽の王子ホルスの大冒険』関連が充実していた。制作素材に加えて、今回公開されたスタッフや会社の内部文書が、今後の高畑研究や東映動画研究のベースとなっていくことは間違いない。 「富野由悠季の世界」では、あえて時系列ではなく、テーマ別の読解に踏み込んだ構成が刺激的であった。また、企画・執筆がアニメーションプロパーの研究者ではなく、各美術館の学芸員によって行われたこともアニメーション研究の定着と拡がりを象徴する点である。 両者が期せずして同年に開催されたことはアニメーション研究において重要な意義を持つと考え、選考委員会の総意として本年度の特別賞に選出した。(選考委員・権藤俊司)
■「日本アニメーション学会賞」について
「日本アニメーション学会賞」は日本アニメーション学会(1998年創立/www.jsas.net)の創立15周年記念事業として2014年に創設されました。 「日本アニメーション学会賞」は主としてアニメーション研究者の顕彰・奨励を目的としております。またその授賞対象は会員に限らないものとしました。これは現状においてはアニメーションあるいはメディア芸術の分野における顕彰・奨励が伝統的な分野とは異なり作家・クリエイター中心であり、創り手以外の研究者や教育者・批評家などへの顕彰・奨励の機会はごく限られたものであるからです。本学会員の間でも、かねてよりこれを解消すべき大きな課題であるとする意見が少なからずありました。 本学会がこの賞を設けることにより、これまで顧みられることの少なかった研究者の顕彰、特に若手研究者の奨励を実現させたことは、学会としての社会的使命の一つを果たすことに繋がるのではないかと考えます。「日本アニメーション学会賞」がアニメーション分野あるいはメディア芸術分野の学術研究の活性化を促し、その一層の発展に寄与することを本学会員一同、心より願っております。 日本アニメーション学会ではこの賞を本学会会員皆の力で支え育て、末永くまた大きく発展させていきたいと希望しておりますので、関係各位の皆様のご理解とご協力をどうぞよろしくお願い申しあげます。
日本アニメーション学会会長 須川亜紀子